「海外製ED治療薬」は何が違うのか
薬剤師が説明する4つの違い

オンラインED診療の価格表を見ると、「海外製」「海外後発品」「ジェネリック」と書かれた安い列があります。国内で承認された薬より、だいたい半額から3分の1です。
安い理由は単純で、日本の承認を受けていないからです。承認がない薬は、日本の基準で品質・有効性・安全性が確認されていません。「悪い薬」だと言っているのではありません。確かめようがない薬だ、という話です。薬剤師の目で、違いを4つに分けて説明します。

違い1. 偽造品が混ざる。ネットで入手したED治療薬の約4割
約4割(40.0%)
ED治療薬を製造販売する製薬会社4社(ファイザー、バイエル薬品、日本新薬、日本イーライリリー)が2016年に行った合同調査です。日本語の「個人輸入代行」サイトから入手した70点を各社が鑑定したところ、28点が偽造品でした。国内発注分に限っても35.6%(45点中16点)。
調査のまとめには、こう書かれています。偽造品は「有効成分含有量が承認用量を超過あるいは不足、または全く含まれていないもの、他の成分あるいは複数の不純物が含まれるもの」が確認された。そして、偽造品は先発品に外見が極めて似ていて、ネット上では「本物である」「海外製のジェネリック医薬品である」と偽って販売されている。

つまり「海外製ジェネリック」という表示そのものが、偽造品の売り文句として使われています。見た目では分かりません。
出典:偽造ED治療薬4社合同調査結果(2016年11月24日 プレスリリース)
違い2. 税関で止まる偽造薬は、10年で約100倍
11件 → 1,030件
同じプレスリリースによると、2015年に税関で差し止められた偽造医薬品は1,030件で、10年前の11件からおよそ100倍に増え、その多くがED治療薬でした。止まっているのは一部で、止まらなかった分が国内に入っています。
出典:同上
違い3. 何かあっても、救済制度の対象にならない

日本には、承認された医薬品を正しく使って重い副作用が出た場合に、医療費や年金を給付する「医薬品副作用被害救済制度」があります。国内承認薬を医師の処方どおりに使っていれば、この制度の対象です。
未承認薬は対象外です。これは私の意見ではなく、国のルールに書いてあります。医療広告ガイドラインは、未承認薬を扱うクリニックに対して、次の5つを明記するよう求めています。
- 未承認医薬品であること
- 入手経路
- 国内に同じ成分の承認薬があるかどうか
- 諸外国での安全性の情報
- 医薬品副作用被害救済制度の対象外であること
裏返すと、この5つがサイトに書いていないクリニックは、ルールを知らないか、書きたくないかのどちらかです。
出典:医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)
違い4. 海外製の薬は、医師が自分の患者のためにだけ輸入している
ここは意外と知られていません。未承認薬は、薬の卸から仕入れることができません。クリニックが海外製の薬を出しているとき、それはその医師が「自己の患者の治療のため」として国に輸入確認を受け、自分で輸入したものです。
この仕組みには条件があります。輸入した医師本人しか使えない。他の医師に使わせてはいけない。他に販売・授与してはいけない。だから、海外製の薬は院内から直接送るしかなく、薬局を通ることがありません。薬剤師が確認する工程が、構造上入らないのです。
国内承認薬なら、卸から薬局に入り、処方箋に基づいて薬剤師が調剤し、併用薬や禁忌を確認してから渡すことができます。海外製の薬にはこの経路がない。海外製を選ぶということは、薬剤師の目を通らない薬を選ぶということでもあります。
出典:関東信越厚生局「医薬品等の輸入について」/医薬品医療機器等法 第56条の2
まとめ:海外製が悪いのではなく、確かめられない
| 国内承認薬 | 海外製(未承認) | |
|---|---|---|
| 品質の確認 | 日本の承認基準で確認済み | 日本では未確認 |
| 偽造品 | 卸から薬局・医院へ。混入経路がほぼない | ネット入手の約4割が偽造(2016年調査) |
| 副作用の救済 | 救済制度の対象 | 対象外 |
| 入手の経路 | 卸 → 薬局・医院 | 医師個人の輸入。薬局を通らない |
| 薬剤師の確認 | 入れられる | 構造上、入らない |
※この記事は特定のクリニック・医薬品を推奨するものではありません。治療の可否は医師の診察で決まります。
※執筆:薬局勤務の薬剤師(匿名)。広告・アフィリエイトは含みません。
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